日本セトロジー研究会(略称:セト研)は,おもに鯨類やその他の海棲哺乳類について,研究・普及・情報収集のためのネットワークをつくり,会員相互の交流と親睦を深める活動を展開しています.主たる活動は,年に1回の大会の開催,会誌「日本セトロジー」の発行,ニューズレターの発行です.2024年6月現在,会員は個人・団体会員合わせて160名を数え,生物学・古生物学・水産学などの自然科学はもちろんのこと,歴史学・考古学・民族学(文化人類学)などの人文・社会科学の研究者,水族館職員などの専門家から一般愛好者まで多様な人たちからなっています.
本会の歴史は,前身の「日本海セトロジー研究会」が1988年に設立されたことに始まります.当初は日本海沿岸を中心に活動していましたが,活動が全国に広がるとともに2005年に「日本セトロジー研究会」へと改称して現在に至っています.
イルカやクジラは日本の身近な海に回遊していることが知られるようになってきました.ホエールウオッチングも各地で行われるようになっています.定置網や入江や河口に迷い込んだり,海岸に漂着したりすることもしばしばあります.また,鯨類の化石も各地で発見されており,考古学的な遺跡から鯨類の骨や歯が出土することもめずらしくありません.かつて捕鯨が各地で盛んに行われ,その文化的遺産も広く分布しています.セト研は,そのようなさまざまな情報を集め,研究や教育に役立てています.